ギャッベとは?


ひと目見て心奪われるその色合い。自由で決まりきった正解のないデザイン。

そのじゅうたんに一歩足を踏み込むと、その手織り独特の弾力にとりこになってしまう。そんなふみ心地。
さまざまな魅力でギャッベは日本の暮らしと日本人の心と体を豊かにしてくれています。

ギャッベとは、元々どんなもので、どんな魅力があるのか、詳しくご説明いたします。

ギャッベとは


ギャッベとは? まずはじめに。

ギャッベとは、もともとペルシア語で「ざっくりとした」という意味を表すことばで、英語の「rough」と近い言葉です。

古くからイランの南西部のザクロス山脈一帯に住む遊牧民によって織られている 「毛足の長い絨毯」のことを言います。

もともとは遊牧生活の過酷な大地にふかふかで毛足の長い絨毯を敷くことにより 暑さ寒さをしのぎ、快適に暮らすための生活道具として代々受け継がれてきました。自分たちの育てた羊の毛から 糸を紡ぎ、自生する草木で色を染め、手織りで織る。そんなシンプルな知恵の集積が ひとつのじゅうたんを生み出し、家族で受け継がれながら使われていきました。

近年、欧米を皮切りにギャッベのアートとしての魅力が注目されました。日本でもこの10年、ギャッベの魅力が雑誌に特集として組まれ、織りの技術がユネスコの無形文化遺産に登録されたことにより、その伝統的な価値に注目が集まりました。

生活道具として気兼ねなく使える、そして手仕事のぬくもりと作り手の個性を楽しめる世界に一つだけの表情をもつじゅうたん。それがギャッベです。

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ギャッベとは 代表的な5つの特徴

手仕事ならではのぬくもりで心が癒される

手織りで丹精を込めて織りこまれるギャッベに、まっすぐな線はありません。

私たちがイランの現地を訪れ、織り手の女性に聞いたこと。それは自然を見つめなさい、というメッセージでした。自然の中にまっすぐな線はまったくない。その自然をお手本にしているからこそ、ギャッベは自由でユニークなのです。一本一本織り込まれる色々は少しずつ自然な色合いの変化と織り手の個性があらわれます。

そうして生まれる「ゆらぎ」や「グラデーション」は 見ている私たちを、いつのまにか、やさしくあたたかな気持ちにさせてくれるのです。


ギャッベとは

その弾力はやみつき!! 手織りならではの踏み心地。

ギャッベは、経糸に一本一本糸を結び付けていく手織りの手法で織られる絨毯です。

もともとテント生活をするために地面に敷いて床のかわりとして使われているルーツがあるため、その毛足の長さもあえて長くし、独特のふかっと感と弾力が生まれます。ギャッベをみたら手で触るのはもちろんですが、靴を脱いで踏んでみてください。説明を聞くよりもその一歩の踏み心地が何より説得力がある感触です。

ソファを置いてもソファには座らずにラグに座る方も多い日本人の暮らし。そんな暮らしにはラグの感触が良いことが何よりのくつろぎにつながるのです。


ギャッベとは

モチーフには家族や未来への思いを込めて

家族や仲間、そして自然をとても大切にする民族が織りなすギャッベ。それは伝統的なモチーフにも表現されています。

木や花、動物に思いを託し、糸で自己表現をする。たとえば結婚する時に、嫁ぎ先での家族の円満を願って「鹿」を織り込む。子供が生まれたら、記念にまっすぐ育つ糸杉の木をモチーフにした「生命の木」を織り込む。日本でも節目には木を植えて、その気持ちとこれからの未来へ思いを託しますが、それを女性たちはギャッベに織り込んで受け継いできたのです。

これはどんな気持ちで織ったんだろう?そう想像しながらギャッベを眺めるのも大きな楽しみのひとつとなっています。


ギャッベとは

大地で使う生活道具、その耐久性は100年?

 もともと地面に敷いて床のかわりとして、固い大地で使うための生活道具であるギャッベ。だからこそ、とても丈夫で、長く使うことができる耐久性があります。

ペルシアの大地の標高の高いところで遊牧する生活。それは決して楽なものでありません。夏は40度を越え、夜には10度まで下がる。そして冬には氷点下になって山には雪も降ったりと過酷な生活です。

そんな暮らしを支える役割のギャッベ。そして親から子へ、受け継がれながら使われ、中には3世代にわたって100年使われるものもあるほど。日本でじゅうたんを100年使うというと、現実味がないかもしれませんが、気兼ねなく普段使いをして長く使い込める。

ギャッベの特徴は、伝統の暮らしの知恵から生まれたものなのです。


ギャッベとは

織り手の個性が光る! 一点物の魅力

ギャッベは同じものがありません。その時の気持ちを糸に込めるように織っていくので、 同じ人が織ったとしても同じものを織ることはできない絨毯です。

たとえば1畳くらいのサイズを織る時でも、できあがるまでには3か月ほどの時間がかかります。ひとつの季節をまたぐくらいの時間をかけて織りあげる。それは織る人にとってはどれも「傑作」と呼べるものなのだと思います。

だからこそ、その一枚は、その時にしか織ることのできない表情となります。それを受け取る私たちにとってもまさに縁のようなもの。

一期一会の出会いを楽しむように、ギャッベは一点物の魅力を楽しむことができるのです。


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