違いは何?ラグ・カーペット・マット、どれも絨毯の一種?

投稿日: 2020年7月3日

普段なにげなく使っている「ラグ」、「カーペット」、「マット」、それぞれの違いはどこにあるのかわかるでしょうか? そもそも、どれも日本語で言う「絨毯(じゅうたん)」の仲間なのでしょうか。今回は、ラグ・カーペット・マットの違いや使い分け方、さらに絨毯との違いや使い分け方についてご紹介します。
様々なラグ、カーペット

ラグ・カーペット・マットの違いとは

「ベランダ」と「バルコニー」や、「エナジードリンク」と「栄養ドリンク」のように、私たちの日常生活ではそれほど違いを気にしていなくても、製造している業界や、法律などによってきちんとそれぞれの定義が定められているという事例は案外多いものです。ラグ・カーペット・マットも、明確な違いがあるのでしょうか。まずは辞書での意味から、見ていきましょう。

厳密な定義はないものの、サイズで呼び分けられるのが一般的

大辞林(第三版)では、ラグ・カーペット・マットの意味はそれぞれ次のように示されています。

・ラグ
イギリス原産の厚手の毛織物。床の一部に敷く敷物や、ひざ掛けに用いる。ラッグ。
・カーペット
絨緞(じゅうたん)。敷物。毛氈(もうせん)。
・マット
1.玄関や入り口などに置く泥落とし用の敷物。
2.床や廊下などに敷く敷物。
3.体操などで用いる厚い敷物。
4.ボクシングやレスリングで、リングや試合場に敷く厚い敷物。「一ラウンドで敵を-に沈める」

玄関マットや体操用・格闘技用のマットは別としても、「室内の床に敷く敷物」としては、ラグ・カーペット・マットそれぞれに素材や製法などの決まりがなく、あまりはっきりとした定義や、それぞれを分ける違いがないのが見て取れます。唯一、ラグは「厚手の毛織物」とありますが、店頭などで見かけるラグは、毛以外の素材を使っていることも珍しくありません。

強いて言えば、ラグ・カーペット・マットはだいたいのサイズで呼び分けられていることが多いようです。小さい方から、マット(おおむね1畳くらいまで)<ラグ(3畳くらいまで)<カーペット(それ以上)といったところでしょうか。ちなみに、ラグを「ラグマット」と呼ぶこともあるようです。マットは入り口や玄関に置くものなどが比較的小さいので、室内でもこのサイズを指すのかもしれません。ラグは床全体ではなく「床の一部に敷く」こと、また、ひざ掛けに用いることもあって、1~3畳前後が適したサイズだということでしょう。

ラグやマットは変形が多い?

もうひとつ、ラグ・カーペット・マットの呼び分け方について考えられる説があります。カーペットは部屋全体に敷かれることも多いので、店頭などで見る限り、四角い形状の商品が圧倒的に多くなっています。一方、ラグは円形(丸形)や雲形、ランダムな形や図形をかたどったものなど、さまざまな形状が見られます。
試しに「カーペット 変形」で検索してみると、変形のカーペットはなかなかなく、カーペットよりもラグやラグマットと銘打たれている商品の方が多くヒットします。ラグとカーペットについては、こうした形状の違いも呼び分けに影響しているのではないでしょうか。
ちなみに、マットは一般的にサイズが小さいこともあり、ラグにも増してさまざまな形状が見られます。キャラクターや特定のアイテムをかたどったものなど、インテリアのアクセントとして使われることを想定している商品も多いようです。


ラグ・カーペット・マットと絨毯はどう違う?

ラグ・カーペット・マットは、なんらかの定義があるというよりも、サイズや形状で慣例的に呼び分けられているということがわかってきました。それでは、これらと同じように敷物の呼び方としてよく使われる「絨毯」は、ラグ・カーペット・マットとどのような違いがあるのでしょうか。今一度、カーペットの辞書での意味を確かめるところから見ていきましょう。

カーペットと絨毯の意味は同じ

大辞林(第三版)では、カーペットは「絨毯。敷物。毛氈。」とされています。つまり、英語でいうカーペットの日本語訳が「絨毯」で、カーペットと絨毯の意味は同じということになります。
ただ、日本ではカーペットと絨毯であれば、なぜか「絨毯の方が高級」だというイメージをお持ちの方も少なくありません。高級絨毯の代名詞といえば「ペルシャ絨毯」ですが、同じ意味でも「ペルシャカーペット」と呼ばれることはまずなく、そういったことから「絨毯=高級」というイメージになっていったのかもしれません。

日本の「絨毯」は毛織物のイメージがより強い?

ペルシャ絨毯もそうですが、日本では「絨毯」というと毛織物が連想されやすいということも、高級なイメージの一端になっていそうです。
ちなみに、日本ではイ草や畳を使って仕立てた和風の敷物も多く見られますが、これらは「イ草カーペット」、「イ草ラグ」、「畳マット」などと呼ばれるのが一般的。部屋に敷き詰められるほど大きなサイズの商品であっても「イ草絨毯」「畳絨毯」という呼び方はまず耳にしません。もしかしたらそれは、素材がイ草や畳であり、毛織物ではないからかもしれません。
イメージだけではなく、「絨毯」という表記にもポイントがあります。絨毯の「絨」の字には「毛織物」という意味があるのです。ちなみに、大辞林(第三版)で、カーペットに対応する語として絨毯とともに示されている「毛氈」は「獣毛をフェルト状に加工して織物のようにした布。主に敷物に用いる。」というもの。毛織物そのものではありませんが、やはりそれに近いものを「カーペット」とイメージする様子がうかがえます。どうやらこれは、絨毯のルーツに理由がありそうです。絨毯が生まれたのは今から3000年~4000年前、その形状はまさに毛氈のようなものだったと考えられ、その後毛織物として発達してきたのです。そのため、昔から絨毯=毛織物(毛を原料とするもの)と認識されてきたのかもしれません。

一点物がお好きな方はギャッベを

イランを原産とするペルシャ絨毯の一種「ギャッベ」は、主に8種類のサイズで作られています。小さいものは室内用のマットに、1~2畳のサイズであればラグとして、大きいものはカーペットにと、サイズによってさまざまな用途に使えます。保温性が高く、調湿機能もあるので、季節や場所を問わないのも魅力です。
図案などを使わず、織り子がそれぞれ手織りで作っていくので、同じデザインのものは2つとないのも魅力です。ギャッベについて詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

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使い方によって呼び分けていることも。

ラグ・カーペット・マット、そして絨毯。どこが同じで、何によって使い分けたり、呼び分けたりされているのか、大分実態がわかってきました。最後にもう1つ仮説として「使い方によって呼び分けられている」可能性を考えてみました。

敷き詰める?置いて使う?

ラグ・カーペット・マットの呼び分けには、その使い方が影響しているとも考えられます。
「カーペット」は、部屋中の床に敷き詰めたり、床をほぼ覆ったりするような敷物として使われるのが一般的です。一方、ラグは部屋の中央や、コーナー分けした場所の中央に置いて使う、いわゆる「部分敷き」の敷物として使われます。マットはさらに機能的に、部屋の入口や水回りの周辺など、水分や汚れをふき取る必要がある場所でよく使われます。
こうした使い方によって、それぞれラグ・カーペット・マットと呼び分けていることも少なくないようです。
ラグ・カーペット・マット、そして絨毯。明確な違いはないものの、どういった要素で使い分け、呼び分けされているかを踏まえておくと、探しやすくなりそうです。ぜひ、参考にしてみてください。


まとめ

普段、何気なく使っているラグ・カーペット・マットは、明確な定義がないもののサイズや規格によって分類されています。形状や使い方によって呼び分けられることが多いため、意味を知っておくと商品を探すときに役立つでしょう。一点物が好き、素朴な色合いが好みなど、趣味や趣向から探したい方は、ペルシャ絨毯やギャッベなどの言葉で調べるのも手です。ぜひ、参考にしてみてください。

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