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※2020年9月29日 イベント情報バナーを更新しました
こんにちは!
いきなりですが、「オールドギャッベ」ってご存知ですか?
ギャッベをご存知の方でも「オールドギャッベ」は知らない!っという方も多いかもしれません。
今回は「オールドギャッベ」の魅力についてです。
オールドギャッベとは?
30~40年前に作られた古いギャッベを「オールドギャッベ」と呼びます。私たちが通常ご紹介している「アートギャッベ」は基本的に天然の草木染めで糸を染めています。しかし当時は、すぐに染まり、発色のいい化学染料が好んで使われていたそうです。こちらの写真。草木染めではなかなか出せない発色のいい色です。おそらく、化学染料で染められたものだと思われます。使い込まれて少し色が落ち着き、かっこいい!いやー、くたっとした感じもたまりませんね。
時々、この写真のように、天然染料(草木染め)では出すことができない鮮やかな色が使われている「オールドギャッベ」を見かけることがあります。今は、どちらかというと、天然染料(草木染め)が見直されてきています。ただ、この話を聞くと、やはり時代背景というものを感じさせられます。どちらがいい、ということではなく、その時代ならではの背景を知ることで、見え方が変わってきますね!
こちらの写真も、とても鮮やかで発色のいい色が使われています。これも化学染料を使って染められたものだと想像できます。そして、この鮮やかな色合いがアート性を高めています。この色がないとデザインとして物足りない。オリジナルオールギャベならではの織り手の「感性」が窺えます。まさに「アート作品」ですね。
【補足】もう一つのオールドギャッベの特徴
遊牧民族は、移動しながら生活するので、絨毯を持ち運びます。自分たちの生活用に織られていたオールドギャッベは、それを考慮したつくりになっています。織りは割とざっくりとしていて、やわらくて軽く、クルクルと丸めて持ち運びしやすいのです。大きさも1畳程度のものが多いのもそのためです。これも時代背景ですね!【補足】草木染めの手間と苦労、そして魅力
現代の「アートギャッベ」は基本的に草木染めで染められています。草木染めとは、茜の木の根、ザクロ、クルミの皮などの自生する天然の植物を染料として染め上げることです。草木染めは、窯でグツグツと煮出すため、手間と時間が非常にかかります。そして、落ち着いた、色むら感のある独特の美しさを生み出します。一方、化学染料は染まりが早く、発色もいいので、色鮮やかな絨毯が出来上がります。草木染めが当たり前だった当時の織り手さんにしてみれば、「なんだこれは!魔法の染料だ!」となりますよね。そりゃ使いたくなりますね。その時代に思いを馳せると、すごく貴重なものだということが改めて認識できます。
【事例】オールドギャッベの活用事例をご紹介
ここからは、実際にオールドギャッベを使用いただいてる事例をご紹介させていただきます。いろいろな事例がありますので、ご参考までにご覧ください。この揺らぎがたまらない
サイドのライン、かなり曲がっちゃってますねー 笑
これがいいんですよね-。この空間の雰囲気を一気に和らげてくれます。真ん中に入っている文様はメダリオンと言われるものです。意味はずばり「魔除け、厄除け」。玄関でがっちりガードしてくれてます!オールドギャッベには、このように大きな「メダリオン」が織り込まれたものをよく見かけます。これも想像でしかないですが、昔は遊牧生活も今と比べても危険だったでしょうから「家族を魔の手から守る」という強い意志を織り込んでいたのかもしれないですね。
独特の存在感でリビングの価値を高める
このスペースにはちょっとサイズが小さいかも…と思ってしまいますが「気に入っちゃったんだからしょうがない!」という思いが伝わってきます。そうです、ギャッベはそういうものなのです。これも「メダリオン」が織り込まれていますね!代表的な意匠です。
オールドギャッベには珍しいデザイン
オールドギャッベではあまり見かけない、しなやかな木が描かれています。枝にとまる鳥は「神の使い」。幸せをもたらしてくれる、と言われています。品があり、美しいデザインですね。
和室でも存在感を発揮するオールドギャッベ
畳の部屋にもしっくりきます。時経て、味わいを増したものは、どの空間にあっても存在感を示しますね。本当に美しい赤色です。このデザインは私も初めてみました。
オーソドックスな魅力満載のオールドギャッベ
3つ並んだメダリオンが特徴的です。正統派の趣のあるオールドギャッベです。どことなく威厳があります。落ち着いたデザインで、お部屋の程よいアクセントになっていますね!
再び命を吹き込まれる「オールドギャッベ」
オールドギャベの中には、絨毯商のオーダーによって織られた「商品」としてのギャッベではなく、織り手の「感性」だけで織り上げられたものも存在します。そういったものを見つけると、何だか嬉しくなっちゃいますよね!こういったオールドギャッベは入手するのは大変困難だそうです。現地の絨毯商が遊牧民の住む村やテントを訪ね歩き、状態のいいものを集めてくるそうです。大変ですね!その後、洗いや補修の手間をかけて、商品として流通できるようにギャッベに再び命を与えます。なんだか、グッときますね!
織り上げるまで、サイズによっては1年以上を要する「アートギャッベ」も非常に貴重なものですが、30~40年以上前のものに再び命を吹き込む工程は、より神秘的です。
オールドギャッベによく見られる織り手のサイン
こうして再び命を吹き込まれた「オールドギャッベ」。なんだか見え方も変わってきますね。さて、次は「サイン」の話。こちらの写真をご覧ください。特に下の写真です。オールドギャッベに織り込まれた、小文字のアルファベットにも見えるこの模様は、織り手のサインと言われています。
この文字はペルシャ数字で書かれています。織り手の女性たちには誰が作ったギャッベか分かるように、各々にマイナンバーのような数字が割り振られています。女性たちはその数字を名前の代わりとして、ギャッベに織り込んでいるのです。オールドギャッベにはこのサインらしきものが多くみられます。このサイン、実は織り込まれているものもあれば、そうでないものもあります。一体どういう意味があるのか。これはもう想像するしかありません。
もしかしたら「自信作」ということなのかもしれません。絵画にサインをいれるようなものでしょうか。「うまくできたなぁ」と思ったら、入れたくなっちゃいますよね。サイン!
何十年前の織り手の女性が入れたサインを現在に生きる私たちが見ているとは、なんだかタイムスリップをしたようで不思議な感じですね。
最後に
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。いかがでしたか?「オールドギャッベ」少しは興味を持っていただけたでしょうか?今、アートギャッベをお使いの方も、是非自分ならではの「オールドギャッベ」を育てていただければと思います。アートギャッベは、あなたと、そしてご家族と暮らしをともにすることで育っていきます。大事にしている革小物やヴィンテージジーンズのように。アートギャッベとの暮らしを楽しんでいきましょう。さて、オールドギャッベを含む、アートギャッベ約200枚が一堂に会する「アートギャッベ®200枚展」が全国各地で開催中です。是非お近くの会場をチェックしてみてください。会場でオールドギャッベ談義に花を咲かせましょう 笑
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この記事は「GABBEH 草木染め絨毯ギャッベ(新宿書房)」を参考に書かせていただきました。ありがとうございました。